嫌われ松子の一生(上・下)/山田宗樹

とりあえず感想をアップしときます。
映画を観ない人も、観るかもしれないけどわかんない人もドウゾ。

嫌われ松子の一生(上)
 



 
昭和初期のどろどろとしたレトロな雰囲気。
しかも松子は九州の田舎で噂がすぐに広がってしまうような狭い社会で生きている。
小説序盤から、この息苦しい雰囲気がこの物語には漂っていました。

松子自身は父親に気に入られたい一心で優等生として学生時代を過ごし、教師になる。
でもお父さんは病弱な妹の久美を大事にしていて、松子は「いいお姉ちゃん」を演じながらも久美が嫌い。その気持ちは、わからないでもない。
教師として頑張ろうとしてた松子を踏みにじるような事件が起きて、しかも松子はすごく世間体というか「人から良く思われていたい」という気持ちが強い人で。その対象は家族であったり、町の人や職場の教師達、生徒達。その性格が災いして、

ここで私がガマンしておけば丸く収まるし、きっとバレないわ!


って、独りよがりで頑張っちゃう。

でも、そうは問屋が卸しませんからああああっ、残念っ!というワケで、自分だけで済むはずの問題はことごとくバレてしまい大問題に発展。結局松子は田舎を飛び出す羽目に。
この辺りの展開、自分の身に起きたらかなりヘビー。私だったらどうしただろう・・・って考えたんだけど、やっぱり松子みたいに家出してたか、死んでたかもしれない。

でも死んでしまうと小説が終わってしまうので松子は生きています。
そして家を飛び出しても生きている以上、どこかで生活しなくてはいけない。
松子は小説家の卵と同棲。この辺りの出会いはよく分からないけど、松子はこの「自称、太宰の生まれ変わり」が好きで好きでたまらない。殴られても罵られても、頑張って彼を支えようとする。
この卵くんの他にも出てくる松子が惚れた男は、ダメ人間ばっかり。
松子は「自分が居ないと、この人ダメなのね」って思う人が好きだったのかも。
母性本能とかよりも、自分が必要とされていることが重要なんですね。この場合。

でも結局は裏切られたりして、松子は一人になる。
ソープ嬢としてお金を稼ぎまくってても、服役中に美容師を目指していても一生懸命。
でも、最終的には孤独なんですよ・・・orz あぁなんて報われない・・・。

弟からは徹底的に嫌われていて、会うたびに父親や久美の死を聞かされる。
謝りたかった相手が居なくなっていく。松子は田舎に帰る理由さえ奪われていきます。
物語が進むにつれ松子はどんどん故郷を離れていき、東京にたどり着きます。
ここで数年過ごして、最後には何者かに殺される。
殺した犯人は不明。警察もモチロン犯人を捜すわけですが、この小説の中では「松子の甥」である笙くんが会ったこともない伯母の一生を追いかける形でストーリーが進みます。
最後には犯人と死んだときの松子の様子も描かれるわけですが・・・。
松子の死に方に納得できない人も居るんだろうなーって思いました。

最後の最後に、松子の意識は遠く離れた故郷に戻ります。
懐かしい実家に上がると、そこには大嫌いだった妹の姿が。笑って「おかえり」と迎えてくれる家族。
でも、実際には一度たりとも松子にはそんな言葉は掛けられなかった。家を飛び出してから唯一接触した弟には「戻ってくるな」とか「縁を切る」ばっかり言われてたしね。
「ただいま」と松子は一言答えて、物語は終わります。
やっと家に帰れたね、って。思った瞬間、涙がこぼれました。

読み終わって、この小説は結局何が言いたいんだろう?って考えました。
松子の人生は壮絶で、それでも生きていく松子。
もっと他のやり方もあるだろう、とツッコミたくなる場面もしばしば。極端なんですよね。
でもまぁよく考えたら、タイトルは『嫌われ松子の一生』だし、確かに彼女の生涯を最後まで描ききっているので題名に偽りなしってことにしておきましょう。
小説としては、面白かったと思います。深く考えずに読むことをオススメ。
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  by riku-hien | 2006-06-09 21:02 | +独り言+

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